後編:電気けいれん療法を行ったうつ病の具体例、症状や治療について。

f:id:TAROmental:20190907060139p:plain

うつ病について

はじめに

本日も前編に続いてうつ病についての記事を書きたいと思います。

 

 前編はこちら

taromental.com

 具体例のAさんは、うつ病の診断で入院することになりました。

 

さて入院後どのような治療を受けて、良くなったのでしょうか?

 

うつ病の症状について

1) 自分で感じる症状
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める、物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない

 

2) 周囲から見てわかる症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える

 

3) 体に出る症状
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、
動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く

 

うつ病の症状には自分で感じる症状もあれば、重症になってくると自分自身の症状が認識できなくなってきます。

自分では、うつ病ではないと思っていても、周りから見たら様子がおかしい場合もしばしばあります。

 

表情が暗くなったり、元気がなくなったり、食事が食べられなくなったりというのが一般的なうつ病のイメージかと思います。

一方で、不安で落ち着かなくなったり、ソワソワとして部屋の中を歩き回ってしまうというのもうつ病の症状の可能性があります。

 

うつ病には様々な症状の出方があるんです。

 

自分自身でうつ病の症状が自覚できない場合には、周りの家族や友人などが気づいてあげなくてはいけません。

 

また、うつ病で体の症状が出る場合もあります。

なんだか疲れやすい、頭痛がする、気持ち悪い、動悸がするといった症状が出ていて、内科に行っても原因がよくわからず、症状がどんどん悪くなっていくという事も少なくありません。

 

Aさんは入院前から食事がほとんど摂れず、死んでしまいたいという気持ちがあるのが一番の問題でした。

 

そのため、Aさんは後ろ向きでしたが入院してもらったのです。

 

入院後もやはり食事や水分が十分に摂れないために、点滴で水分の補給を行うことになりました。

また、死んでしまいたい気持ちも強く、自分自身を傷つけてしまうリスクもありました。

 

うつ病としてはかなり重症です。

 

家族に食事が摂れないこと、自分自身を傷つけてしまうリスクがあることを伝えました。

 

うつ病は薬を飲めば治療できる病気です。

ただ、薬が効き始めるのには時間がかかります。

 

緊急性が高いことを伝えて、電気けいれん療法という治療を行うことになりました。

 

電気けいれん療法について詳しくはこちら

taromental.com

 

うつ病の治療について

f:id:TAROmental:20190907063220p:plain

前編で書きましたが、うつ病の原因には身体因性、内因性、心因性の3つに分かれます。

 

うつ病だったら薬を飲むというイメージが強いかと思うのですが、原因ごとに対処していかないと薬の副作用ばかり増えてしまい全然良くならないという事も起こり得ます。

 

身体因うつ病の治療

身体性うつ病の場合には抗うつ薬というよりは、体の病気が最優先となります。

不眠や不安が強いなどの場合には症状を和らげるために薬を使うこともありますが、基本的には体の治療を行えばうつ症状も良くなっていきます。

 

心因性うつ病の治療

心因性の場合も治療は抗うつ薬は中心とはなりません。

身体性と同様に、症状を和らげるために薬を使うことはもちろんあります。

 

環境が原因の場合には、環境を調整することが大切です。

例えば、職場の人間関係が原因な場合には、部署異動ができないか会社とも相談することとなります。

 

性格面で検討すべきところがある場合には精神療法やカウンセリングが中心になっていきます。

 

内因性うつ病の治療

内因性が原因の場合には抗うつ薬の治療が中心となります。

ただ、Aさんのように緊急で入院が必要で、かつリスクが高い場合には電気けいれん療法も選択肢になります。

電気けいれん療法は抗うつ薬での治療よりも効果の出方が早く、より効果も信頼できます。

ただ、麻酔をして行う手術に準じた治療法なので、麻酔の副作用、電気けいれん療法自体の副作用もあるので慎重に検討する必要性があります。

 

抗うつ薬について

かつての三環系抗うつ薬を使っていた時代は、副作用が強い薬もありました。

 

現在の抗うつ薬の中心は新世代の、SSRI、SNRI、NaSSAといった薬が中心になってきています。これらの新世代の薬は一般的には、三環系の抗うつ薬よりも副作用が少なくなってきています。

 

ただ、副作用が少なくなってきたとはいえゼロではありません。

人によって出る副作用は様々ですが、頭痛、下痢、嘔気などはよくみられます。

 

また服薬開始には、セロトニン症候群、減量や中止時には退薬症候群といって、かえって不安感やイライラ感が強くなったようにみえることもあります。

 

副作用は1週間ほど続きますが、徐々に減っていくこともあるので、まずはしばらく飲んでいくことが大事だと思われます。

あまりに副作用が強すぎて続けられない場合には、薬を変更したり中止を主治医と相談しましょう。

 

たまに主治医に黙って薬を実はやめていたということも聞きますが、主治医は薬を飲んでいると思って治療が続くことになります。

なかなか症状がよくならない原因にもなり得るのでお勧めできません。

 

おわりに

f:id:TAROmental:20190907070410p:plain

 

Aさんは電気けいれん療法という治療法をすることになりました。

 

まずはこの治療ができるかどうか、頭のMRIとか心臓の機能を調べるエコー検査、心電図検査、レントゲン検査など行います。

 

検査で異常がないことを確認して電気けいれん療法を始めました。

1回30分ほどで終わる治療で、週に3回行い、全部で10回ほど行う治療です。

 

4回ほど行うと、表情が柔らかくなってきて、食欲が少しづつ上がってきました。

死んでしまいたい気持ちも少なくなってきたと話しました。

 

6回ほど行うと、食事を全て食べられるようになったので、点滴を抜くことができました。死にたい気持ちも消え、気分の落ち込みも楽になってきたと話しました。

 

8回終わった時点では、廊下をキビキビと歩き、ホールでテレビを見たり、他の患者さんと談笑したりするなどできるようになりました。

 

10回終わった時点では、うつ病の症状はほとんどよくなっており、家族と自宅で外泊を行って、自宅で家事をしたり卓球教室に顔を出すことができたと楽しそうにお話できるようになりました。

 

外泊がうまく行き、Aさん自身も家族もうつ病になる前に戻ったという感想だったので、退院となりました。

 

退院したから治療が終了になるわけではなく、状態を維持するために抗うつ薬を半年〜1年ほど続けてもらいながら通院してもらうこととなります。

 

Aさんも半年外来通院を続け、抗うつ薬を中止し通院も終了となりました。

 

現在も卓球生活に通いながら元気に生活しているということです。

 

まとめ

Aさんのように自分を傷つけてしまうような状態のうつ病も、適切な治療で良くなります。

 

治療法も薬だけではありません。

 

うつ病は良くなる病気なので、絶対に自殺は考えて欲しくないと思っています。

 

 

参考文献:

うつ病|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省