アルコール依存の原因や診断について、具体例を挙げて、前編。

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アルコール依存について

はじめに

みなさんお酒は好きですか?

 

僕は好きですし、ついつい飲みすぎちゃうこともあります。

 

でもちょっと飲み過ぎじゃない?と周りに言われたり、お酒を飲んだことでの問題が起きている場合もある方もいるのではないでしょうか。

 

もしかしたらアルコール依存かもしれません。

 

厚生労働省によると、「節度ある適度な飲酒」と「多量飲酒」を区別しています。

 

節度ある適度な飲酒とは、「1日平均20g程度の飲酒」です。

 

20gの飲酒って、ビール中ビン1本、日本酒1合、25度焼酎100mlに当たります。

 

節度ある飲酒量って実はかなり少ない量なんですね。

 

多量飲酒は「1日平均60gを超える飲酒」です。

ビール中ビン3本で多量飲酒になります。

 

一度飲みに行ったらあっという間に多量飲酒になってしまいますよね。僕もそうです。

 

でも多量飲酒しただけではアルコール依存にはなりませんから安心してください。

 

アルコール依存の具体例

50代の男性でカメラマンとして会社に所属し仕事をしていました。

30代で結婚し妻と子供もいます。

 

40代で会社を辞め、独立してフリーランスとして仕事をしていました。

 

もともとお酒は大好きでしたが、会社に所属していた時にはお酒の問題は一切起きたことはありません。

 

フリーランスになってから、しばらくすると不景気からか仕事がなかなか入ってきません。

徐々に酒の量が増えていき、仕事仲間とも口論になることが増えていきました。

 

家族を養わなくてはいけないというプレッシャーはありつつも、ついつい酒を飲んでしまいます。

そのうち、仕事中にも酒を飲むようになっていきました。

 

当然、仕事仲間や家族から注意され、「酒を辞めなよ」と周囲に言われるも、本人は「大丈夫だから」と言い、問題視することはありません。

 

そうするうちに顔色も悪くなり、食事もあまり取らなくなり、自宅で昼夜を問わず酒を飲むようになりました。

 

酒の量は増え、自分でも辞めなくてはいけないと薄々は感じたため、一度1週間ほど酒を辞めることに成功しました。

 

酒を辞めていた期間は、手が震えなんだかイライラして落ち着きません。

「その気になればいつでも酒を辞められる」という自信がついてしまいました。

 

その後、家族との些細な口論で、再度酒を飲むようになります。

「いつでも酒なんて辞められる」と思いながら・・・。

 

家族に注意され、暴力を振るうことも出てきたため、家族に連れられて私の外来を受診されました。

 

アルコール依存とは

原因

アルコール依存の原因は多量飲酒です。

たた、全ての多量飲酒者がアルコール依存になる訳ではありません。

 

その違いはどこから来るのでしょうか。

遺伝要因が50-60%、残りが環境要因と言われています。同じように飲酒していても、これらの要因を持つ場合にはアルコール依存になりやすいのです。

 

簡単に言うとアルコールに強い遺伝体質の方は、アルコール依存になりやすいです。

 

アルコール→→アセトアルデヒド→→酢酸→→炭酸ガス、水

体内でアルコールは上記のようなルートで分解されます。

 

お酒に弱い遺伝体質の方は、アセトアルデヒド→→酢酸にする酵素の働きが弱いために、体内にアセトアルデヒドがたまってしまいます。

 

アセトアルデヒドがたまると、顔面紅潮、心悸亢進、頭痛と行った症状を引き起こします。

 

誰しも心当たりがあるかと思いますが、二日酔い状態ですね。

めちゃくちゃしんどいですよね・・・。

 

遺伝体質的にアセトアルデヒドの分解が上手な人はどんどん飲んでしまいます。

二日酔い状態になることが少ないですから。

 

そうするとどんどん酒量が増えていってしまい依存状態になってしまいます。

 

どのような状態がアルコール依存か

アルコール依存症をひとことでいうと、「大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」です。

 

診断基準

日本でも広く使われるICD-10の診断基準によると

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合

1.飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感

2.飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難

3.禁酒あるいは減酒したときの離脱症状

4.耐性の証拠

5.飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの回復に要する時間が延長

6.明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず飲酒

 

 

1.お酒が飲みたくて仕方ない、飲まないといられない

2.酒を止められない、酒の量も気にできない

3.離脱というのはいわゆる禁断症状です、症状のところで説明します

4.同じ量では酔えず、どんどん酒の量が増えていること

5.仕事や趣味、家族のことなどに気を使えず、飲酒にふけってしまうこと

6.酒によって問題が起きている自覚があるのも関わらず酒を続ける

噛み砕いて言うとこのような感じです。

 

具体例の男性も、フリーランスになってから酒の量がどんどん増え、仕事もできなくなっているにも関わらず酒を辞めることができませんでした。

また、禁断症状として手の震えも出ていました。

 

アルコール依存と診断されます。

 

さてこの男性はアルコール依存と診断され、どのような治療をしたのでしょうか?

症状、治療と合わせて後編でお話したいと思います。

 

後編はこちら

taromental.com

 

 

参考文献:

ICD-10

アルコール依存症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省