夜中に大声上げたり、起き上がって怪我する方へ。レム睡眠行動障害かも?

f:id:TAROmental:20190902031846p:plain

レム睡眠行動障害について

はじめに

本日も睡眠関連についての記事を書きたいと思います。

 

パートナーが睡眠中に突然大声を上げたり、腕や足を振り回したり、起き上がってベッドから飛び起きたりといったような危険な行動を頻繁に見ることはありませんか?

 

起こしてみると悪夢を見ていたと、はっきり悪夢の内容を覚えていたりするんですね。

 

もしかしたらレム睡眠行動障害かもしれません。

 

あまり馴染みのある病気ではないし、聞いたことがないと思います。

 

ただ、精神科外来では時々いらっしゃいます。

ベッドから突然起き上がって、体を負傷することが頻回にあるとか、ベッドパートナーが頻回に声を上げるために眠れない等。

 

環境を整えたり、薬で対処できることも多いので安心してください。

 

レム睡眠行動障害とは

 人の睡眠は浅い睡眠であるレム睡眠とノンレム睡眠という深い睡眠を繰り返しています。

 

レム睡眠行動障害はレム睡眠期に起きます、レム睡眠は一晩に何回も繰り返しているので、この症状が起きる時間も様々なんです。

 

レム睡眠行動障害の行動症状は、ハッキリとした大声の寝 言・唸り声のあと、腕や足を振り回すという殴る 蹴るという動作、急に身を起こす、ベッドから飛 び降りるなど、本人だけでなくベッドパートナー が怪我をする可能性があるほど危険な行動を認め ることがあります。

 

持続時間は数分程度ですが、この際に呼びかけたり体への刺激で起こしてあげると

この異常行動と一致した夢の内容を鮮明に思い出すことができるというのが特徴です。

 

レム睡眠が終われば異常行動も終わるので、1人で寝ている方はそのことに気づかずに朝を迎えるということも珍しくありません。

 

一般人口における0.8%がこの病気を持っているとされ、初老期以降に発症し男性が80%をしめると言われています。

 

原因についてはパーキンソン病などの神経変性疾患との関係性など色々言われてはいますが、未だ全容はわかっていません。

 

遺伝の関与の可能性も言われています。

 

レム睡眠行動障害の診断について

ICSD—3 基準 

以下の A~D をすべて満たす。
A .睡眠中の発声や複雑な行動のエピソードが反復する。
B.これらの言動が REM 睡眠中に出現することが PSG で証明されるか,夢が行動化したという病歴によって REM 睡眠中に起きたと推定される。
C.PSG 記録によって RWA が証明される。
D .これらは他の睡眠障害や精神疾患,薬物治療,物質使用によるものではない。

 

PSGというのは睡眠ポリグラフ検査という検査のことを指します。RWAというのはPSGで認める特別な所見のことですが、ちょっと専門的過ぎるのでここでは省きます。

 

要約すると、寝ている時に声が出たり、動いてしまったりという異常行動を繰り返し、病歴聴取やPSGという検査によって特殊な所見が見られる。

かつ、他の睡眠障害や薬物、物質による影響ではない。

 

 これらを全て満たす場合に、レム睡眠行動障害と診断されます。

 

レム睡眠行動障害を正確に診断してもらうには、睡眠ポリグラフ検査ができる病院に行かなくては行けません。

 

そういった病院は少ないので、まずは近隣の精神科でも問診のみで明らかな場合には、治療はできると思います。

 

レム睡眠行動障害の鑑別

夜間のてんかん発作がまずは挙げられます。

夢見がなかったり、発作後もうろう状態にあるので、完全に覚醒させることが困難だったりレム睡眠行動障害と明らかに違う部分もありますが、しっかりと検査を行い鑑別した方が望ましいと思われます。

 

夢遊病や夜驚症も鑑別に挙がりますが、思春期にはこれらは自然消滅するので鑑別は容易です。

 

睡眠時パニック発作や睡眠時無呼吸症も、呼吸困難から叫び声をあげたり、不安を認めたりするなど、夢見も伴わないので比較的鑑別は容易です。

 

睡眠時無呼吸症について詳しくはこちら

taromental.com

 

夜間せん妄も鑑別に挙がり、容易に覚醒できない、覚醒しても応答がはっきりせずちぐはぐであるといったところからも鑑別はできます。

 

レム睡眠行動障害の治療について

まず、本人の睡眠時の行動異常の程度によると思います。

 

ちょっと声をあげるくらいであれば特別な対処はいりません。

 

また、怪我のリスクが低いであろうと予想される場合には、ベッドから手の届く範囲のところに物を置かない、ベッドから落ちた時に怪我をしないようにクッションなどで配慮するなどの環境調整でなんとかなる場合も多いです。

 

ストレスにより悪夢が誘発されたりもするので、ストレスを上手に減らすマネージメントも必要です。

ストレスマネージメントについて詳しくはこちら

taromental.com

 

また、アルコールによりレム睡眠が伸びてしまい行動異常が出るリスクが増えたりもするので、禁酒や節酒も大切です。

 

あまりに症状が激しく怪我をするリスクが高い場合には、薬物治療も選択肢に挙がってきます。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤やドーパミン作動薬、漢方などを使う場合もありますが、薬剤には副作用もあるので主治医としっかり相談してから選択したいですね。

 

おわりに

自分自身や周囲に思い当たる人はいそうですか?

 

レム睡眠行動障害は、異常行動が軽い場合には環境調整だけでもなんとかなる場合が多いです。

 

症状が激しい場合には、薬物治療を行った方がいい場合もあります。

寝ている間に大きな怪我をしてしまいそうであれば、早めに治療しましょう!

 

 

参考文献:

中村真樹.REM睡眠行動障害.成人病と生活習慣病2018;48-8:905-910